午前四時「Live Bootleg」


夜と朝の狭間。無意味に徘徊する季節。赤信号の横断歩道を渡る事に罪悪感はまるでない。生産性皆無の妄想Xをどこかに捨てる事も出来ずまた一口酒を飲む。そう、有益なものは何一つなかったのだ。しばらく街を歩いていると中年サラリーマンが酒に酔って座り込んでいる。ヨレヨレのカッターシャツ上着と空き缶が境界線の様にその男の周りに散らばっている。何故こんなにも胸をかき乱されるのか。境界線から先に足を踏み入れるのを恐れている僕を見て男は笑った。しかしその顔は自転車に乗った高校生集団の笑い声が通り過ぎるのと同時に風に舞って、散る、アウトした。嫌悪しそうな程の感情が僕を後ろ向きに歩かせている。疑い出したらきりがない。君にこんな感情を抱きたくはないのにふとポケットに手を入れると小型のナイフが入っていた。僕はそのナイフを無理矢理飲み込んで吐き出して泣いた。涎まみれのナイフは路上に溶けて消えた。冷め切った午前四時の硬質な音が僕を少し楽にしてくれた。