GOING UNDER GROUND「かよわきエナジー」


夜。帰り道。いつもの交差点に差し掛かる。信号は赤。ふと視線に気づきそちらに目をやる。そこには見覚えのある女性が伺う様な笑顔で僕の方を見ていた。その女性は中学〜高校時代にかけて僕の何でも無い日常を変えてくれた初恋の人だった。5年振りの再会。大学を卒業して彼女がこの土地を離れたのは風の噂で知っていたがまさかこんな形で会うとは思ってもみなかった。こんな何でも無い普通の日に。もちろん僕らは年月を重ねて大人になったわけだけど、愛くるしくてあどけない雰囲気はあの頃のままだった。色々あったらしく誰にも知らせずにひっそりと戻って来たらしい。僕らは自転車を漕ぎながら何でもない会話をした。つい最近も会ったかの様に。家の近くまで彼女を送り別れる。彼女は下校時間の廊下で会った時と同じ様に手を振って去って行った。その場所は3台の自販機の明かりが照らすだけの寂しい場所で、僕が彼女に告白しようとして結局出来なかった場所。彼女はGOING UNDER GROUNDが好きだった。今も好きなのかな。